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2008年9月10日 (水)

「またな、にいちゃん」

その場所には命のやりとりがある。

その命は時にはたくましく燃え上がり

時には静かにそのゆらめきを止め、永久の眠りにつく。

どうしたって、人の命を考えることが多くなりますね。

普段、とってもぶっきらぼうなおじいちゃんがいました。

すっかり痩せてしまって、病気のせいで声もかすれてしまってる。

食事も喉を通らない…

座っているとだんだん気持ち悪くなってしまう。

そんなおじいちゃんのリハビリ。

「なんだ兄ちゃん。今日もきたのか?」

そうですよ。毎日ベッドでねっころがるだけじゃお暇かと思いまして^^
今日もちょっと座ってお話ししませんか?

「別に話すことなんかないけどなぁ・・・まあいいよ。起きればいいんだろ?」

座って、手や足を動かしながら、くだらない話をする。

そして、いつもと同じく、しばらくすると気持ち悪くなってしまってベッドに戻る。

ベッドちょっと上げるのだったらもう何分でも平気なんですけどね…もう少しかな?

「だといいんだけどな。まぁ、ぼちぼち頼むわ。」

精密検査の結果が出る…

覚悟はしていたけど…とても「良い」と言える状態ではなかった。

なんとかならないものかと思っても…僕にどうこうできるレベルのものじゃない。。

今の僕にできることは、話をする。そのくらいのことしか浮かばなかった。

転院が決まり、その日が僕が関われる最後の日。

リハビリに行くと、そのおじいちゃんはやけにあっさりと口に出す。

「検査結果聞いたよ。あんま良くないみたいだな、俺。」

「そうですね。」と言うわけにもいかず、「そうでもないですよ。」とも言えず…

こういうとき、とても悩みます。どう言葉を選べばいいのか。どう声をかければいいのか。

でも、返事に時間があいてしまえば…心配させてしまうことは目に見えてわかっているわけで…

検査結果ですか?僕もお話は伺いましたよ。今度転院されるということでしたね。

「らしいなぁ。うちじゃ治療が難しいから、大きな病院に行った方がいいでしょうって言われたよ」

そうですね…うちの病院ちっこいですからね(笑)
でも、転院ってことはまだ治る見込みがあるってことですからね。確証はありませんけど…
ただ、僕はあまり悲観的にはとらえてないですよ?可能性があるんですから。

「あまり辛いことは嫌だけどなぁ…まぁでも、兄ちゃんの言うとおりだな。ウジウジしてても仕方ないしな。」

○○さんがウジウジなんて似合わないですもんね(笑)始めは投げやりな感じで怖かったですけど(笑)

「悪いね。もともとこういう性格なんだわ。ん?そういや兄ちゃん、今日で最後なのか?」

そうなんですよ…お名残惜しいですけど…

「なんだ、そうなのか…つまらねぇなぁ。兄ちゃんもくりゃいいのに」

僕も一緒に転院ですか?パッとできればいいですけどね(笑)

「冗談だよ、冗談(笑)でも今日で最後か…最後くらい気持ち悪くならないようにしてよ」

えー…座らないんですか?むしろ立とうかと思ってたのに…笑
それにまだ最後とは決まってないですよ?戻ってくるかもしれないし…

「冗談きついぜ兄ちゃん^^; ぼちぼち終わりにしてくれよ。それに俺は戻らないよ。なおりゃ帰るわ、帰る。」

そうですね…ぼちぼちにしましょっか^^ 
じゃあ元気になったら遊びに来てくださいね^^

「元気にねぇ…まぁ、なれたらな。」

ええ、待ってますんで^^

「わかったわかった。お別れだな、じゃあな、兄ちゃん」

はい。お元気でね!

「あ、ちょっと待った。」

はい?

「またな、兄ちゃん」

ええ、また・・・。

手を伸ばすおじいちゃん。僕の手をぎゅっと握る…

細い手なのに、思った以上に強く握るその大きな手は、小刻みに揺れていた。

きっと、彼はわかってるんだ。もう自分が長くないことを。

きっと彼はわかってる。恐らく、僕にはもう会えないことを。

そして彼はわかってるんだろう。僕がそれを知っていて隠していることを…

それでも気丈に振舞って…逆に僕が気を遣われてしまったような

そんな感じがした。

一つの命が大きく動く時、言葉にはできない何かが、胸にこみ上げてくる。

命の大きさ。命の尊さ。命の強さ。命の大切さ。

おじいちゃんの一言、一言から感じられてくる。

そんなおじいちゃんが、テレビで殺人事件のニュースを見ていてこんなことを言ってました。

「こいつがしてることは…若い頃に俺らがしてたことと同じだな。規模が小さいだけだ。俺らは好きでやってたんじゃないけどな…なんで間違いに気づかないかねぇ」

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コメント

そういう仕事だと
命の重みってものを直に感じられるね。
感じさせられる、って言った方がいいのかな。

昔ユーミンが
「死んだ人をいつも心の中で思い出していたとしたら
その人はまだ生きているんだよ。」
って言ってたのを思い出しました。

投稿: べぃじゅ | 2008年9月10日 (水) 21時14分

≫べぃじゅさん
感じさせられますね…
ユーミンがそんなことを…

人は死なない。心の中で生き続ける。
きれいごとのように聞こえるけど、本当にそうなんだと思います。。

投稿: musashi | 2008年9月11日 (木) 00時22分

命って終わらせても構わないって思ってる人は簡単に終わらせることができなくて、終わらせたくないって思ってる人ほど早く終わりを迎えてしまうものなのかなって最近思います。
神様は優しくないよね。
このおじいちゃん、自分の最期をちゃんと受け入れててカッコいいなって思いました。

投稿: みぃ | 2008年9月11日 (木) 04時50分

≫みぃさん
そうだね~、確かにそんな気がするかも…
神様は平等に優しいとはとても思えない…だって、どう考えても不平等だもん、この世界。

おじいちゃん、最期をちゃんと受け入れられてたのかな、やっぱり。なんか、彼の心の強さに驚きました。

僕はまだまだ死ぬのが怖いので…

投稿: musashi | 2008年9月11日 (木) 23時45分

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