すっかり遅くなってしまいました。すみません。
ここのところなんだかばたばたしてしまって…
その3です。
今回は、言語聴覚士(ST)さんのお話。
STさんの仕事というのは…
音声機能、言語機能、摂食・嚥下機能、又は聴覚に障害のある者に対し、その機能の維持向上を図ることと言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助を行う。
ここでいう音声機能というのは、簡単に言えば口から音を発する機能のこと。
言語機能というのは、脳を含め、言語を理解・表出する機能のこと。
摂食・嚥下(えんげ)機能というのは、要するに飲食をする機能のこと。
ふ~ん…そんなに需要なさそうだよね~と思ったそこの方。
これが実は、とってもあるんですよ?
その多くが、脳卒中により、脳になんらかの損傷を負ってしまった方なのですが…
脳には「言語中枢」と言われている部分があって
それは二つ存在すると言われていて
ひとつが「ブローカの中枢」
もうひとつが「ウェルニッケの中枢」
と呼ばれています。
これらの部位を損傷された場合、言語機能に障害をもってしまい
総称して「失語症」と言われており、それぞれ、ブローカ失語、ウェルニッケ失語と言われています。
まずはブローカ失語について。
これは、言語のうち、言語を発する機能が特定して障害されてしまいます。
つまり…相手が言っていることは理解できるけど、自分の言いたいことが伝えられない状態。
不思議なことに、それは言葉だけでなく、文字で書くことも障害されてしまって
つまりは、頭の中で考えた言葉が、どのような方法をとっても伝えられない状態なんです。
唯一の手段としては、表情を変えたり、頷いたり、首を横に振ったりすること…
そのため、ブローカ失語の方は、自分の伝えたいことが伝えられずに
とても苦しい想いをされる方が多いのが現状です…
中には伝わらない苦しさから泣き出してしまう方もいて…
僕ら医療従事者は、何を伝えたいのかを必死に読み取ってコミュニケーションをとらなければなりません。
それがわかっているだけに、ブローカ失語の方のリハビリをするときは
こちらもとても心を痛めてしまいます…本当はわかってあげたいのに。。。
わかってあげられたときの患者さんの笑顔は何事にも変えられないくらい素敵なものですが
つぎは、ウェルニッケ失語についてです。
これは、言葉を理解する機能が特定して障害されてしまいます。
つまり、相手の言っていることが理解できない、言葉を整理することができなくなってしまう状態です。
しかし、しゃべれるんです。
これが、ものすごい勢いでしゃべるんです。とっても楽しそうに。。
ただし、言葉が整理されていないため、内容は完全に意味不明です。
一方的にはなされて、こちらとしては全くコミュニケーションが取れないので
ものすごくイライラ、言うこと聞いてくれない…のですが
当の本人は笑顔でとっても楽しそう。という感じです。。
もちろん、これは一例なので、必ずしもみんながみんなそうではありません。
簡単に分けてしまうと
ブローカ失語は「話はわかるけどしゃべれない。」
ウェルニッケ失語は「しゃべれるけど、話はわかんない。」状態ですね。
細かく分けると他にも失語の形態があるのですが…わからなくなってしまうのでなしで。
説明長いな…おい。。
話は変わって、今度は摂食・嚥下機能の障害についてです。
簡単に言ってしまえば、食べること・飲むことに対する障害なのですが
これも結構ややこしい。ので、簡単に。
人が物を食べる時には、色々な器官が働きます。
まずは目と鼻ですね。まぁ、そこはいいでしょう。
次に口です。まずここ。
「脳卒中で半身麻痺になった」という話はよく聞くかと思うのですが
あれは、なにも上半身と下半身に限定されたものではありません。
脳が損傷される部分によっては、顔面や舌の動きにも影響します。
つまり、口が開けにくい・閉じない、舌が動きにくい・動かないということが起こります。
人が物を食べる時
①口を開ける。
②もぐもぐする。
③舌でもぐもぐした物を奥に押し込む。
④ごっくんと飲み込む。
大まかにこのような動きをするわけです。
そのどこかの部分が障害されると、物を食べれない・食べにくくなってしまうのです。
特に多いのが、口が閉じない(閉じきらない)、ごっくんがきちんとできない状態です。
口が閉じきらないのは簡単に想像がつくと思います。
ご飯を口に入れても閉じきらないから、ボロボロこぼしちゃうんです。
よだれもだらだら。
問題は、ごっくんがきちんとできない状態。
これは、喉の奥の動きが障害されてしまった状態で
僕らが普通にご飯を食べる時、「ごっくん」とした瞬間に喉の奥が動いて
食べ物が気管・肺の方へ入らないように、気道にフタをするのですが
その、フタをする機能がしっかり働かなくて
誤って食べ物が気管に入ってしまうんです。
どうなるかわかりますよね…
ムセます。
げほげほムセます。
しかし、そのムセすら障害されてしまう方もたくさんいて
そういう方は、食べ物がす~っと肺に入っていって
肺で食べ物が腐り、バイ菌が発生。肺に炎症を起こし
「肺炎」という状態になってしまいます。
高齢者にものすごく多い病気なんです。
実はこの「ごっくん」の機能は
脳卒中だけでなく、加齢による機能低下
または、認知症(以前、痴呆と言われていた病気)により低下してしまいます。
加齢による低下は、単純に、ごっくんのタイミングがずれたり、そこを動かす筋肉が弱ってたりする状態。
これは、STさんの訓練でよくなることが多いです。
ただ…認知症による嚥下機能の低下はとてもタチが悪くて、ほとんど治りません。
なぜかというと…食べていることを忘れてしまうからなんですね。。
口の中に物が残っていることに気付けない。
喉の奥に食べ物が残っているのにムセない。
これらの物が、眠っているうちにコロコロっと肺に入り込んでしまうわけです…
その対処法として、食べ物や飲み物をゼリー状やゲル状にすることで
一気に流れることを防ぎ、飲み込みやすくして、訓練し、徐々に普通の状態に戻します。
ただ、どうにも手をつけられない状態までいってしまうと
お医者様たちは「じゃあ…PEG(胃瘘(いろう、と読みます))ですね」といって、胃にブスッと穴を開けて
液体状にした食物を胃に直接流し込んだり
点滴をブスッと刺して栄養を取るようにします。
これがいいことなのか、悪いことなのか、僕には判断しかねますが
それが現状。
そうなってしまわないように、訓練するのがSTさんのお仕事です。
といっても、STさんのメインのお仕事はやはり言語機能の回復。
しゃべれなかった人がしゃべれるようになるのを見ているのは
正直、感動を隠せませんね…
話が長くなってしまいましたが…こんな感じです。
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